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「……紹介や口利きなら普通だろう?」
“… Isn’t it normal if it’s an introduction or cleverness?”
一見さんお断りについて、わたしがざっと説明すると、ベンノは軽く肩を竦めた。階級に厳しいこの街では、服装や紹介がないことで入店を断られることは決して珍しいことではない。
「紹介されたところで、その客の金払いと振る舞いは別物だ。金払いが良いからといって、よい客だとは限らない。逆に金払いがいいせいで、傲慢で横柄になることもあるから困るんだろうが」
When I briefly explained Mr. Ichimi’s refusal, Benno gave up his shoulder lightly. In a city that is strict in class, it is not uncommon to be refused entry due to lack of clothes or referrals.
厄介な客も多いのか、溜息混じりにベンノがぐしゃりと髪を掻きあげた。わたしはこの街で行われている紹介と一見さんお断りの違いを丁寧に説明する。
「ただの紹介とは違うんですよ。紹介されてお客様になった方が、例えば、装飾品を盗んだり、酔っぱらって騒ぎを起こしたり、支払いを踏み倒したりした時は、紹介した人のところへ行って、支払いの催促や解決の責任を取らせるんです」
“Introduced, the customer’s money payment and behavior are different. Just because money is good, it’s not always a good customer. It may be a problem because it may happen. “
「紹介者に支払いをさせるだと!?」
ベンノが目を剥いて、机を叩くようにして立ち上がる。かなり予想外だったのか、呆然とした顔でわたしを見下ろした。
There were many troublesome customers, but Benno crawled his hair with a sigh. I will carefully explain the differences between the introductions and the declines at first glance.
「えぇ。もし、面倒事を起こせば、お店とお客様だけの問題ではなくなりますから、厄介事に関する抑制効果はかなり高いと思います。紹介する側も適当な人間は絶対に紹介できません。何か問題があれば、結局は自分に返ってくるから、当然ですよね? 信用できる人間のみ紹介されるようになります」
「……だが、それは、紹介する客に負担が大きすぎないか?」
“It’s not just an introduction. If someone who was introduced and steals, for example, steals ornaments, gets drunk, makes a fuss, or steps over payment, the person who introduced you To take responsibility for prompting and resolving payments. “
ゆっくりと座り直したベンノが、ぐりぐりとこめかみを押さえる。予想以上にショックを与えてしまったらしい。店を紹介することはあっても、その後の責任を負わされることはないからであろう。
「店の雰囲気を大事にして、面倒事の起こらない心地良い時間と料理を提供するんですから、結果的には常連のお客様を大事にすることになると思いますけど?……まぁ、取り入れるかどうかはベンノさんの判断に任せます。はっきり言って、馴染みのないものですからね」
“If you want to make an introducer pay?”
わたしの意見を取り入れるかどうかを考えたり、判断したりするのはベンノの役目だ。わたしは問題提起されたから、思い当たる解決策を提示しただけなのである。見習いにもならずに終わった商人見習い未満のわたしでは、自分が知っているシステムがこの街にそぐわないかどうかもわからない。
「ただ、貴族の料理が食べられる高級レストランという店自体が初めての試みで、馴染みないものだから、馴染みのない規則だとしても、最初から決めておけば大きな問題にはならない気がします。でも、途中から導入するのは無理ですよ?」
Benno gets off his eyes and stands up like hitting a desk. It looked down on me with a stunned face, whether it was quite unexpected.
ベンノがくっと眉を寄せて、空を睨む。
「取りこむとしたら、相当細かく決めておかなきゃならんぞ?」
“Yeah. If you make trouble, it will not be a problem only for the shop and customers, so I think that the suppression effect on troublesome things is quite high. No. If you have any problems, you will eventually return to yourself, so it’s natural, only trusted people will be introduced. ”
「うーん……絶対に譲れないところだけ決めておいて、後は店や周囲の状況で少しずつ改変していけばいいんじゃないですか? 初めて導入するものなんですから、あまりカッチリ決めないで、多少余裕を持たせた方がいいですよ。多分」
「ふぅむ……」
“…… But isn’t it too expensive for the customer to introduce?”
ベンノが考え込むのを見た後、わたしは自分の書字板に視線を落とした。
「じゃあ、『一見さんお断り』はこのくらいにして、開店までに店で準備しておかなきゃいけない物を考えましょう」
Slowly sitting back, Benno presses the temple and temple. It seems to have shocked more than expected. Even though the store is introduced, it will not be held responsible.
「準備しておくものだと? 内装のことは決めただろう?」
怪訝そうにベンノが目を細めてわたしを見た。自分の書字板に書き連ねられている「気になった項目」を見て、わたしはベンノを睨んだ。
“I think it will take care of regular customers because it will give you a pleasant time and food that doesn’t bother me with the atmosphere of the store. It ’s up to Benno to decide whether or not to adopt it, because it ’s definitely unfamiliar. ”
「何を言ってるんですか? 内装しか決まっていないじゃないですか。各テーブルにメニュー表や呼び出しベルが必要でしょう? 貴族らしさを失わないように、品の良いものを準備しなければダメです」
「メニュー表? メニューは給仕が教えるものだろう?」
Benno’s role is to think and judge whether to incorporate my opinions. I raised a problem, so I just presented the solution I thought of. I am less than a merchant apprentice who ended without apprenticeship, and I don’t know if the system I know fits in the city.
この世界において、メニューとはテーブルに付いた給仕が口頭で教えるものらしい。どこにいっても腸詰を焼くのか煮るのか程度の違いしかないような平民の店や、すでにメニューが決まっていて「今日のメニューはこれ」と宣言するだけで良い貴族の家での食事ならば、給仕が教えるので問題ないかもしれない。
けれど、どんな料理かよくわからない複数のメニューの中から、複数の人が自分の食べたい物を選ぶのに、メニュー表がなければ、給仕の方が大変だ。
“However, the first high-class restaurant where you can eat aristocratic food is unfamiliar, so even if it’s an unfamiliar rule, it doesn’t seem to be a big problem if you decide from the beginning But isn’t it possible to introduce it from the middle? ”
「メニュー表に店で作れる料理や準備されているお酒の銘柄を書いて、各テーブルに置いておけば、給仕に一々尋ねなくても大体はわかるし、ゆっくり選べるでしょう? どれだけの給仕を付けるつもりなのか知りませんけれど、少しでも手間が省けるところは省いた方が良いですよ」
「メニュー表を作ったとして、字が読めない者はどうする?」
Benno draws his eyebrows and glares at the sky.
ベンノの苦々しそうな顔に、この街の識字率の低さを思い出したが、大した問題ではないと思う。イタリアンレストランに入れるくらいの収入を得ている富豪層に限れば、識字率はかなり高いはずだ。商人見習いになるためにルッツでさえ、文字を覚えさせられたのだから。
「字が読めない人は普通に給仕に尋ねればいいじゃないですか。……でも、レストランの最初のお客様は大店の旦那様でしょう? 字は読めると思いますけど?」
“If you’re going to take it, you have to decide quite finely?”
「……まぁ、そうだが」
「それに、大体の人が従者を連れているわけですから、主従揃って読めないということはないでしょう?」
“Hmm … I’ll decide only where I can’t afford it, and then change it little by little in the store and the surroundings? Because it’s the first introduction, don’t decide too much. [It ’s better to leave some room. Maybe]
大店の旦那様の会食は仕事の話が中心になるので、必ず資料や筆記具を持った従者が脇に控えている。主従揃って字が読めなかったら、話にならない。契約書で何が書かれていてもわからないようでは、仕事になるはずがない。
「あ、それで、メニュー表なんですけど、ちょっと厚めの紙を漉いてもらって、前に作ったみたいに植物の透かしを加えてみませんか? 定番料理と季節の料理の表を準備するんです。植物紙の宣伝にもなるじゃないですか」
“Fum …”
ちょっとオシャレな感じにしてみたい。可愛いのではなく、綺麗な雰囲気で。今の季節ならどんな植物が合うだろうか。いっそ色付きの紙を作ってみるのはどうだろうか。
「わざわざ紙を使うのか? メニュー表はそこまで必要か?」
After seeing Benno think, I looked down at my writing board.
「レストランにメニュー表は必須ですよ! あ、マイン工房で準備しましょうか? ウチの側仕え、うっとりするくらい字が綺麗なんです。すごいでしょう? ふふん」
「……必要性も、どんな物かも、いまいちわからんから、お前に任せる」
“That’s how much I’m going to refuse” Ichimi-san “, and think about what you need to prepare in the store before it opens.”
疲れたようにベンノが頭を抱えた。
新しいお仕事を獲得したわたしは、脳内でメニュー表のデザインを考えて、によっとする。
“Do you have something to prepare? Did you decide on the interior?”
「はぁい、任されました。それから、給仕はどうします? 貴族らしさを追求するなら、その辺りで雇った平民に給仕は務まりませんよ?」
平民が行く店の給仕と、貴族の給仕は大違いだ。それはフランを初めとする側仕え達の給仕を受けているわたしが一番よく知っている。
Benno squinted and looked at me. I looked at Benno after seeing the “items I was interested in” written on my writing board.
大量の料理を運ぶせいで、乱暴だろうが、零れようが気にしない下町の給仕とフラン達を一緒にしてもらっては困るのだ。ベンノもそれをよくわかっているようで、少しばかり情けない顔でわたしを見た。
「……お前のところで何とかならないか?」
“What are you talking about? Isn’t the interior only decided? Each table should have a menu and a call bell?” Make sure you prepare good items so that you don’t lose the aristocratic character. It ’s not good. ”
「それは、給仕もわたしの部屋で練習させるということでしょうか? うーん……料理人はともかく、給仕は……中に入れる許可が取れない気がします」
「逆に、神官を外に働きに出すのはどうだ?」
“Menu table? Is the menu taught by the waiter?”
「明日、神官長の昼食にお呼ばれしているので、聞いてみますけれど、期待はしないでくださいね」
以前に、「紹介をしてくれたり、面倒を見てくれたりする人がいないから孤児は神官や巫女にしかなれない」と神官長は言っていた。その時は「後見人がいれば外に出せる」という意味で受け取ったけれど、孤児院や神殿の現実を知ってしまうと、額面通りには受け取れない。
In this world, the menu seems to teach the waiter on the table verbally. If you want to eat at a commoner’s store where you can only cook intestines or boil wherever you go, or a noble house where you only have to declare that the menu is today, Maybe no problem as the waiter teaches.
今は余っている神官が多いので、外貨を稼いで来られるなら良いと言われるかもしれないし、神殿のシステムが壊れる可能性があると判断されるかもしれない。微妙なところだ。
「そうですね。……あとは、最初の試食会に神官長をお招きしようと思うんですけれど、ベンノさんはどう思いますか?」
However, it is more difficult to serve a waiter if there is no menu table for multiple people to choose what they want to eat from multiple menus that they do not know what kind of dishes they are.
「……ちょっと、待て。神官長だと? 本物の貴族を呼んだとして、本当に来るのか?」
貴族が平民の店にやってくるという状況はあり得ないことだ。基本的に貴族街の自分の家に呼び付ける。
“If you write the dishes you can make in the menu and the brands of sake that are prepared in the menu table and place them on each table, you can understand the general situation without having to ask the waiter one by one. I do n’t know if you ’re going to be serving only, but it ’s better to leave out where you can save a little time. ”
神殿は貴族街と平民の街の境にあるので、両方に通じる門がある。しかし、青色神官が儀式以外で平民の街に出ることはない。
「うーん、興味があるみたいです。わたしが考案した料理やお菓子。攻め方によると思うけど、連れだせない雰囲気ではなかったと思います」
“What do you do if you make a menu table and you can’t read?”
「……ほぉ」
興味深そうにベンノが顎を撫でながら、考え込む。
Benno’s bitter face reminded me of this city’s low literacy rate, but I don’t think it was a big problem. The literacy rate should be quite high if it is limited to the rich who earn enough money to enter an Italian restaurant. Even Lutz was able to learn letters to become a merchant apprentice.
「ですから、本当にベンノさんが信用できる人だけを最初の試食会にお招きするのはどうですか? 貴族と一緒に食事って、特別感が出ません?」
「……間違いなく出るだろうな」
“If you can’t read the characters, you should ask the waiter normally …. But the first customer of the restaurant is a big store husband? I think you can read the characters?” 19459002]
「本当に貴族も出入りするって店になれば、イタリアンレストランにも箔が付くでしょ?」
“… Well, yes”
ベンノの赤褐色の目が利益を見据えて、肉食獣のような目になって、ギラリと光る。
「あぁ、付く」
“And because most people have followers, isn’t it impossible to read the master-slave together?”
「カトルカールの試食会と違って、大勢を招いて一度にしようと思わないで、少人数ずつ信用できる人だけを招きましょう。料理人の人数を考えても、一度にたくさんは無理ですよ。料理が高価だから、それほどたくさんの潜在顧客数がいるはずないんです。選ばれた人だけが入れる店として、できるだけ高級感を出す方向で行けばどうです?」
「神官長の協力が得られるなら、行けるだろう。失敗するなよ」
Because the husband’s dinner at a large store is centered on work, there is always a servant with materials and writing tools aside. If the master and servant cannot read the letters, it will not be a story. If you don’t understand what’s written in the contract, it can’t be a job.
ガシッと握手して、ニヤリとベンノと二人で笑っていると、ロジーナがおっとりと首を傾げた。
「あの、マイン様。音楽はどうなのでしょう?」
“Oh, so it’s a menu table, but ask me for a little thick paper and add a watermark to the plant as I made before. Prepare a table of classic and seasonal dishes It ’s going to be an advertisement for plant paper. ”
「音楽?」
「貴族の食事会であれば、奏者が複数呼ばれて、代わる代わる演奏するものですけれど、レストランでは音楽はなさいませんの?」
I want to make it a little more stylish. It’s not cute but in a beautiful atmosphere. What kind of plant would be suitable for this season? How about trying to make more colored paper?
……BGMについては何にも考えてなかったね。
わたしがゆっくりとベンノに視線を向けると、ベンノはお手上げだと軽く肩を竦める。
“Do you bother to use paper? Is the menu table necessary?”
「残念ながら、貴族の会食で演奏できるような奏者に伝手がない」
「……ロジーナの気持ちはどうかしら? レストランで演奏してみたいと思いますか?」
“A menu table is required for the restaurant! Oh, should I prepare at the main workshop? The side of the house, the characters are beautiful enough to be mesmerized. Wow? Wow!”
「楽器を触っていられる時間が増えるならそれに越したことはございません」
きっぱりとそう言いきったロジーナを見る限り、むしろ、自分がフェシュピールを弾きたいからこそ、音楽について言いだしたような感じに思えた。
“… I don’t know what the need is, and I leave it to you.”
「レストランは昼食をメインに開店するんですよね? それならば、予約時に要求があって、別料金を支払うなら、って感じになりますけど……ロジーナが授業の終わる3の鐘の後に動けば、間に合うと思います」
昼食時に別料金を支払っても音楽が欲しいお客様がいれば、わたしの側仕えであるロジーナをその時だけ貸し出すのは構わない。ただ、実務も覚えてもらわなければならないし、毎日になると、神官長へのお伺いが必須だろう。
Benno was holding his head as if tired.
「……おい、夜はどうするんだ?」
「え? 夜はお酒が入るかもしれないでしょ? ロジーナみたいな可愛い子を酔っ払いの前に出すつもりなんてありません。却下に決まっているじゃないですか。夜に音楽を使いたいなら、ベンノさんが奏者を探してください」
When I got a new job, I think about the design of the menu table in my brain, and I’ll do it.
夜に酒場で働く女給は売春婦を兼ねていることが多い。いくら高級レストランで、余所とは違うと言っても、客が聞き入れない可能性は高いのだ。そんなところにロジーナを出すつもりは爪の先ほどもない。
細かいことについて話し合っているうちに、6の鐘が鳴った。仕事は終わりの時間だ。今日話し合った色々な項目をベンノがまとめながら、わたしを見据える。
“Hey, I was entrusted. Then, what about the waiter? If you are pursuing the aristocratic nature, you won’t be serving the commoner you hired there.”
「お前、明日は神官長のところで色々見て来いよ」
「任せてください!」
The waiter at the store where the commoner goes is very different from the waiter of the nobility. It is best known to me who is served by side servicers such as Franc.
「……くっ、不安で仕方ない」
胃の辺りを押さえるベンノを見たわたしは、むぅっと頬を膨らませた。
It would be awkward to carry a large amount of food, but it would be awkward to have the waiters and francs of the downtown area who don’t care about spilling together. Benno seemed to understand it well and looked at me with a little miserable face.
「わたしはレストランがいつ仕上がるのか不安で仕方ないですけどね」
次の日は神官長の昼食にお呼ばれだ。
“… Isn’t it going to work for you?”
3の鐘が鳴るまではフェシュピールの最後の練習で、気迫のこもったロジーナにすごい目で見られながら練習した。フェシュピールだけなら間違いなく弾けるようになった。歌に気を取られると弦の位置を見失いやすくなるところに注意すれば、大丈夫。多分。
その後は神官長のお手伝いだ。フランは昼食会の準備があると言って、神官長の部屋に行くのをギルに任せた。わたしにとっては初めての貴族らしいお呼ばれだ。相手が神官長なので、多少失敗しても問題がない気楽なお呼ばれだけれど、フランとロジーナは神経を尖らせている。
“Does that mean that the waiter is also practicing in my room? Well … anyway, the waiter is … I feel like I can’t get permission to put it in.”
……対貴族ってことになると、あの二人、とっても息が合うんだよね。
貴族を相手にする場面ではロジーナの真価が発揮される。男性であるフランではついてこられないところまで、ロジーナはついてくることができるし、貴族令嬢の側仕えをもう何年も経験しているからだ。
“On the contrary, how about bringing a priest to work outside?”
4の鐘が鳴った後、執務のお手伝いを終えたわたしはギルと一緒に一度部屋に戻った。
デリアの手によって、軽く身だしなみを整えた後、大きいフェシュピールを抱えたロジーナとカトラリーと小さなフェシュピールを持ったフランを連れて出陣である。
“I will be calling for the chief’s lunch tomorrow, so I’ll ask you, but don’t expect it”
一応課題曲は弾けるようになったけれど、緊張してすでに手が震えているわたしと違って、神官長の部屋で食事中にフェシュピールを弾くようにと要望を受けているロジーナは涼しい顔をしている。
「……ロジーナは緊張しないのでしょうか?」
Previously, the chief priest said, “Orphans can only be priests and priests because there are no people to introduce or take care of.” At that time, I received it in the sense of “I can go outside if there is a guardian”, but if I knew the reality of the orphanage and the temple, I could not receive it at face value.
「しております。胸の辺りがざわめき、とても落ち着かない心地ですわ」
にっこりと柔らかな微笑みを見せながら言われても、全く信用できない。けれど、ロジーナの笑顔は貴族の令嬢と同じ武装だ。自分の身を守り、相手に隙を見せないための。
Now that there are many priests left, it may be said that it is good if you can earn foreign currency, and it may be judged that the system of the temple may be broken. It’s a subtle place.
「ちっともそうは見えませんけれど……わたくしも見せないようにしなければならないのですね?」
「えぇ、笑顔で余裕があるように見せるのですよ」
“That’s right … After that, I’d like to invite the priest to the first tasting party, but what do you think, Benno?”
神官長の部屋へ着くと、数人の灰色神官により家具の配置が変えられ、昼食の準備が始められていた。無駄のない動きでテキパキと働く神官長の側仕えを視界の端に留めながら、わたしは招待してくれた神官長に貴族の挨拶をする。
フランによって叩きこまれた挨拶文とロジーナによって叩きこまれた優雅なお辞儀である。
“… Wait a minute. If you are a priestess? Are you really coming if you called a real nobleman?”
フランとロジーナが二人がかりで考えた挨拶は、神々の名前から始まり、招待を受けたことをいかに栄誉に思っているか詩的に表現したもので、かなり長い。その挨拶を片膝を立てて跪き、両手を胸の前で交差した体勢を崩すことなく、言い切らなければならない。そこに優雅さを求められれば、筋力がないわたしには苦行でしかなかった。
挨拶文の暗記に付き合わされたルッツもげんなりしていた。「面倒くせぇな。神官長、本日はお招きいただきありがとう存じます、でいいじゃん!」と言っていたくらいだ。
It is impossible for a nobleman to come to a commoner’s store. Basically calling to your home in the noble town.
ルッツもギルベルタ商会のダプラとして、貴族に係わるようになるので、今から一緒に覚えているのだが、言い回しの難しさや、やたらと多い神の名前に辟易している。こんな時ばかりは一神教が良かったと思う。
神官長を前にしても、度忘れして頭が真っ白になることもなく、普段と比べて1.5倍くらいは優雅に挨拶できた。最後に衣装の裾を踏んで、すぐに立ち上がれなかったけれど、転びはしなかった。わたし、成長した。
The temple is on the border between the aristocratic town and the commoner town, so there is a gate that leads to both. However, the blue priest does not enter the commoner’s city except by ceremonies.
「まぁ、いい。よくできた部類だろう。ご苦労だったな、二人とも。……それで、フェシュピールの練習はできたか?」
挨拶については指導係の二人を褒め、フランが持っているフェシュピールを見て、神官長はわずかに唇の端を上げる。
“Well, I’m interested. Cooking and sweets that I devised. I think it depends on how you attack, but I think it wasn’t an atmosphere that I couldn’t take.”
「先生がよいので、上達したのではないでしょうか」
「まぁ、そんなことございませんわ。マイン様には音楽の才能がおありなのです! 音階もあっという間に覚えてしまわれましたし、お耳も良いようで、音を察する能力もございます。指の動きがぎこちないですが、それは練習次第ですもの」
“… Hou”
……やめてぇ! 才能なんてこれっぽっちもないし! 麗乃時代のピアノ経験と音楽の授業の残りかすなんですっ!
心の中では、もう勘弁してくださいと土下座で謝りたい気分だが、うろたえてはならない。先程ロジーナに言われた通り、うふっとひとまず笑ってみた。引きつっているような気がするけれど、慣れないので仕方ない。
Benno thinks while stroking his chin.
「ほぅ、それは楽しみだ。まだ食事の準備が終わっていないので、その間に君の練習成果を見るとしよう」
神官長の言葉に、横笛を持っていた灰色神官が椅子をさっと準備して、わたしを座らせてくれる。フランがわたしにフェシュピールを手渡しながら、小さく「大丈夫ですよ」と励ましてくれた。
“So why don’t you invite only those who can really trust Benno to the first tasting? Eating with aristocrats doesn’t make you feel special?”
練習通りにやればいい。最初の課題なので、それほど難しい曲ではない。落ち着いてやれば大丈夫だ。
ゆっくりと深呼吸した後、顔を上げると、ロジーナの方が緊張しているように顔を強張らせているのが目に入った。まるで初めての授業参観を見守る母親のようだ。
“… will definitely come out”
フェシュピールの弦をピィンと弾く。最初に覚える短い練習曲は「秋の実り」だ。歌詞としては、食べ物の名前が並んで、おいしいな、という歌で、指さえ動けば難しくはない。
「森の恵み、秋の実り~……」
“If you become a store where aristocrats come in and out, wouldn’t it be possible to add foil to Italian restaurants?”
一応間違わずに弾けて、ホッと安堵の息を吐いた。
「……よくできているな」
Benno’s reddish-brown eyes look like a carnivorous beast in anticipation of profits, shining shiningly.
「えぇ、マイン様はとても覚えが早くていらっしゃいます。せっかくの機会なので、この間、作っていらっしゃった歌も神官長に披露してはいかがですか?」
「え?……作った歌?」
“Oh, I’m sticking”
何だろう? 全く覚えがないんだけど……?
「確か……このような旋律の……」
“Unlike Cattlecar tastings, don’t try to invite many people at once, but invite only a small number of people you can trust. Because the food is expensive, there should not be so many potential customers.How about going as high as possible as a store that only selected people can enter? ”
子供だからだろうか、この身体が優秀なのか、マインの耳は麗乃の時よりも音が拾いやすい。絶対音感とは言わないけれど、かなり音感があるのだと思う。記憶にある曲を音階に置き換えるのが、麗乃時代より容易なのだ。
こっそりと記憶にあった曲をフェシュピールで弾いてみたのだが、ロジーナにしっかり記憶されていたらしい。
“If you get the cooperation of the chief, you can go. Don’t fail.”
「まだ、歌詞ができてないから……今回は……」
さすがに英語の映画の主題歌をこちらの言葉に即興で直していきなり歌うのは無理だ。わたしがゆっくりと首を振ってそう言うと、神官長は興味深そうに目を輝かせながら、微かに笑った。
Shaking hands and laughing with Ginari and Benno together, Rosina leaned gently.
「では、次回を楽しみにしておこう。課題曲はこれだ」
……のぉぅ。またハードル上げちゃったよ。
“That’s Mine, how about music?”
新しい譜面を受け取りながら、わたしは心の中で涙する。次回は課題曲に加えて、自作の歌まで披露することになってしまった。
「では、こちらへ」
“Music?”
銀に輝く食器が神官長の前には並んでいる。わたしの前にはフランが持参した食器がフランの手によって並べられる。壊したり、盗まれたりする危険がある食器は自分の従者が扱い、他のものには触らせないのが普通だそうだ。
わたしが部屋で使っているのは、前の孤児院長が残していた食器で、物は良いらしい。フランは買い変えた方が良いと言ったけれど、部屋に見合う食器は高いので却下した。「前の孤児院長がどんな人か知らないけれど、物に罪はないのです」と言って、勝手に譲り受けている。
“If you are a noble dinner, you will have multiple players called and perform instead, but don’t you have music in the restaurant?”
貴族の食事はギルド長の家でも食べたことがあるように、わたしが知っているコース料理の順番によく似ていた。飲み物が注がれて、前菜の次にスープで、メイン料理が続き、果物やデザート、食後のお茶へと続く。
ただ、量と種類が半端ない。残った分が従者に回されるせいだろうと思われるが、前菜だけで8種類の皿が並んでいる。給仕する側仕えが少しずつ主の皿に盛っていくのだが、前菜だけでお腹いっぱいになりそうだ。
… I didn’t think of anything about BGM.
わたしの食べられる量を把握しているフランは、わたしが好みそうな物を3種類だけ取り分けてくれた。はむっと食べながら、わたしは自分達の料理の改善点を探す。
……味はいい線いってるけど、料理の飾り切りや盛り付けにもっと工夫が必要かも。かなりレベル高いよ、貴族料理。
When I slowly look at Benno, Benno gently gives up his shoulder when he raises his hand.
スープは神官長のところでも味気ないものだった。スープだけならわたしの勝ちだ。メイン料理も数種類あって、食べられるだけ切り分けるらしい。
神官長のところでも、メインは肉料理で魚料理は見当たらない。貴族でも、この辺りで魚はほとんど食べられていないようだ。
“Unfortunately, there is no ambassador for a performer who can perform at a noble dinner”
食事中はフェシュピールの練習のこと、執務内容に関するちょっとした疑問点、今の孤児院の状況、マイン工房の状況などの話をした。
神官長は基本的に相槌を打つだけだ。たまに遠回しに何か言うのだけれど、意図がつかめない。わたしが首を傾げて、神官長が諦めの溜息を吐くまでがワンセットになっていた。
“… What about Rosina’s feelings? Would you like to play in a restaurant?”
……給仕はフランがやる通りで問題ないね。音楽はできればあった方が良いかも。
ロジーナのフェシュピールを聴きながら、食事をしていると、そう感じずにはいられなかった。麗乃時代は店に入れば音楽が流れているものだったけれど、ここで音楽を聴くのはそう簡単な事ではない。だからこそ、ひどく心豊かな気分になれるのだ。
“If you have more time to touch the instrument, you can’t go beyond that”
「……何やら考え込んでいるようだが、参考にはなったのか?」
食後のお茶を飲みながら、神官長が問いかけてくる。
As long as I looked at Rosina who said so, it seemed like I started to talk about music because I wanted to play the festival.
「はい、とても。……神官長、相談があるのですが」
「待ちなさい。君の相談事はあちらで聞く」
“Restaurant opens mainly for lunch? If that is the case, there will be a request at the time of booking and you will pay another fee. If you move later, you’ll be in time. “
「……はい」
神官長に遮られ、わたしはゆっくりと香り高いお茶を飲み干した。
If there is a customer who wants music even if he / she pays another fee at lunch time, it is ok to lend Rosina, my side serving, only at that time. However, you must also learn practical practice, and it will be essential to ask the chief priest every day.
隠し部屋へと案内されて、わたしは神官長について、中に入る。神官長が椅子を準備している間に、長椅子の上を片付けて自分の場所を確保する。
「では、聞こう。今度は一体何だ?」
“… Hey, what do you do at night?”
「余っていると言われている灰色神官を外で働かせることはできませんか?」
わたしの質問に、神官長はこめかみを押さえて眉間に深い皺を刻んだ。
“Eh, you might have a drink at night? I’m not going to put a cute child like Rosina before getting drunk. Isn’t it decided to be rejected? Please look for a player. “
A female salary working in a bar at night often serves as a prostitute. Even if you say that it is a luxury restaurant and it is different from the rest, there is a high possibility that customers will not listen. There is no way to put Rosina in such a place as much as the tip of a nail.
Six bells rang while talking about details. Work is the end time. As Benno puts together the various items discussed today, he looks at me.
“Let’s see tomorrow at the priest tomorrow”
“Please leave it to me!”
“… Kun, I can’t help it”
When I saw Benno holding the stomach, I suddenly swelled my cheeks.
“I’m worried about when the restaurant will be finished”
The next day, I was called for the chief’s lunch.
Until the bell of the third ring, we practiced with the last practicing Feshpil while being watched by the rosy Rosina. If it was only Feshpeel, I could definitely play. It’s okay if you pay attention to the point where you can easily lose track of the strings if you are distracted by the song. Perhaps.
After that, the priest ’s help. Fran said he was ready for a luncheon and left Gill to go to the priest’s room. This is the first aristocratic call for me. Because the other party is the priesthood chief, there is no problem even if he fails a little, but Fran and Rosina are nervous.
…… That two people are very breathable when it comes to nobility.
Rosina’s true value is demonstrated in scenes where nobility is dealt with. Rosina can follow you to the point where you can’t keep up with the male franc, and she has been serving the aristocratic daughter for years.
After 4 bells rang, I finished working with my office and returned to the room with Gill.
Developed lightly by Delia’s hand, then set off with Rosina and Cutlery with a large Feshpeel and Franc with a small Feshpeel.
Rosina, who is now able to play the theme song, is different from me who is already nervous and trembling, but Rosina has received a request to play a feshpeel during a meal in the priest ’s room. Has a cool face.
“… is Rosina not nervous?”
“I’m doing it. The chest is awkward and I feel very uncomfortable.”
Even if it is said with a smile and a soft smile, I cannot trust it at all. However, Rosina’s smile is the same armament as a noble daughter. To protect yourself and not to show your chance to others.
“I don’t see it at all, but … do I have to hide it?”
“Yeah, you can smile and show yourself like you”
When we arrived at the Priest’s room, several gray priests changed the arrangement of the furniture and started preparing for lunch. I keep greetings of the chief priest who works with graceful movement at the end of my sight, and I greet the nobleman who invited me.
greeted by Fran and elegant bowing by Rosina.
The greetings that Fran and Rosina thought about together started with the name of the gods and expressed poeticly how honored they received the invitation. The greeting must be done with one knee raised and the hands crossed in front of the chest. If I asked for elegance there, it was only a penance for me who had no strength.
Lutz, who was associated with the memorization of the greeting, was also confused. “Thank you for taking the time. Thank you for inviting me today.”
Lutz is also involved in aristocrats as a duplication of the Gilberta Chamber of Commerce, so I remember it now, but it’s difficult to speak, and it is easy to talk about the names of many gods. I think monotheism was good only at these times.
Even before the priest, I was able to gracefully greet me about 1.5 times more than usual, without forgetting my head and getting white. Finally, I stepped on the hem of the costume and couldn’t get up right away, but did not fall. I grew up.
“Well, it’s a good class. It was a hard time, both of you … could you practice Feshpil?”
Celebration greets the two instructors, sees the feshpeel Fran has, and the priest raises his lips slightly.
“Your teacher is good, so you may have improved.”
“Well, that’s not the case. Mine has a talent for music! The musical scale was quickly learned and the ears seemed good and the ability to observe sound. There’s awkward finger movements, but it’s up to practice. “
… Please stop! There is no such talent! Reno’s piano experience and the rest of the music class!
In my mind, I feel like I apologize in the prostrate if I have to refrain, but I must not panic. As Rosina told me, I laughed for a while. I feel like I’m attracted, but I can’t help it because I’m not used to it.
“Well, I’m looking forward to it. I’m not ready to eat yet, so let’s see your practice in the meantime.”
In the words of the priest, a gray priest who had a flute prepared a chair and let me sit down. Fran handed me a feshpeel and encouraged me to be small.
Just follow the practice. Because it is the first task, it is not so difficult. It ’s okay if you calm down.
After slowly taking a deep breath, when I raised my face, I noticed that Rosina was tightening her face as if she was nervous. It’s like a mother watching the first class visit.
Playing the strings of Feshpeel. The first short practice song to learn is “Autumn Fruit”. As lyrics, it is a delicious song with food names in a row, and it is not difficult if you move your fingers.
“The blessing of the forest, the fruit of autumn …”
] Played without mistakes and exhaled.
“… well done”
“Well, Mine is very quick to remember. It’s a great opportunity, so why not show off the song you made to the priest?”
“Eh … the song you made?”
What is it? I don’t remember at all …?
“Sure … this kind of melody …”
Mine’s ears are more likely to pick up sounds than Reino’s, probably because she is a child or because her body is excellent. I don’t say it’s absolute pitch, but I think it’s quite pitched. Replacing a song in memory with a musical scale is easier than in the Reino period.
I tried to sneak a song that I remembered with Feshpeel, but Rosina seemed to remember it.
“The lyrics haven’t been made yet … this time …”
As expected, it is impossible to improvise the theme song of an English movie by improvising it with these words. As I shook my head slowly and said, the chief laughed slightly, shining with interesting eyes.
“Look forward to the next time. That’s the assignment song.”
…. I raised the hurdle again.
I receive tears in my heart as I receive new music. The next time, in addition to the assignment song, it was supposed to be performed to the song made by himself.
“Now, here”
Tableware shining in silver is lined up in front of the priest. In front of me, the dishes brought by Fran are arranged by Fran’s hands. It seems that it is normal for your servants to handle tableware that can be broken or stolen and not touch anything else.
I use the tableware left by the former orphanage director in the room. The franc said that it would be better to replace it, but rejected it because the tableware for the room was expensive. “I don’t know who the former orphanage director is, but there is no sin in the things,” he says.
The meal of the nobility was very similar to the order of the course meals I knew, as I had eaten at the guild’s house. Drinks are poured, the appetizer is followed by the soup, followed by the main dish, followed by fruits and desserts, and after-meal tea.
However, the quantity and type are not perfect. It seems that the remaining amount will be sent to the followers, but there are 8 kinds of dishes in the appetizer alone. The serving side dishes are gradually growing on the main plate, but the appetizer alone seems to fill you up.
franc, who knows how much I can eat, has sorted out only three kinds of things I like. While eating, I look for improvements in my cooking.
…… Taste is good, but you may need more ingenuity to decorate and arrange the dishes. It’s quite high, noble food.
The soup was not even tasted by the chief. If you only have soup, it ’s my victory. There are several main dishes, and they seem to be separated as much as possible.
Primary chief also has meat dishes and no fish dishes. Even aristocrats seem to have hardly eaten fish around here.
During the meal, I talked about practicing feshpeel, a few questions about the contents of work, the current situation of the orphanage, the situation of the main workshop.
The priest is basically just a conspiracy. Sometimes I say something to the detour, but I can’t grasp my intention. It was a set until I tilted my head and the priest gave a sigh of compliment.
…… The wait is just as Fran does. Maybe music should be better.
Listening to Rosina’s Feshpeel and eating, I couldn’t help feeling that. During the Reino period, music was playing when you entered the store, but listening to music here is not so easy. That is why you can feel terribly rich.
“… It seems like you were thinking, but was it helpful?”
The priest asks while drinking tea after a meal.
“Yes, very much … Priest, I have a consultation”
“Wait. Listen to your consultation over there.”
“… Yes”
Shielded by the chief priest, I slowly drank a fragrant tea.
Guided to the hidden room, I entered inside the priest. While the priest prepares the chair, he clears the chaise longue and secures his place.
“Then let’s hear. What is this time?”
“Can you work out the gray priest who is said to be surplus?”
In my question, the chief priest held a temple and carved a deep fold between the eyebrows.