受付を済ませ教会の中に進む。
席順は決まってないが、前列ほど身分が高い者が座るらしい。
「あら、マーティン卿の奥様、イザベル様じゃありませんか。お久しぶりですわ。確か去年の総登城以来かしら。」
「まあ、ミシャロン卿の奥様、シメーヌ様!お久しぶりですね。お元気そうで何よりですわ。そうでしたね。総登城以来ですわ。」
「イザベル様も二歳参りですか。つくづくご縁がありますわ。さあセルジュもご挨拶なさい。」
そう言ってミシャロン夫人は横の男の子に挨拶を促す。
「はじめまして、ぼくはセルジュ・ド・ミシャロンです。二さいです。好きなものはゴースト退治(ハント)です。」
「まあ!なんてしっかりしたご挨拶!えらいのね!さあカースちゃんもご挨拶しましょうね。」
「はーい、ド・マーティン家のさんなんカースです。ぼくも二歳です。好きなものは狼ごっこです。」
どうだ。
二歳にしてはいい感じの挨拶じゃないか。
まあここに来ている子供は全員二歳に決まっているが。
「カースちゃんとおっしゃるのね。さすがマーティン卿とイザベル様のお子様だけあって可愛らしいさの中から聡明さが滲み出ておりますわ。セルジュも負けてられないわね。」
「まあシメーヌ様ったら。セルジュちゃんだって凛々しさと朗らかさを併せ持ついい子ですわよね。カースちゃんと仲良くしてあげてね、セルジュちゃん。」
「はい! ぼくも狼ごっこ好きです! 一緒にやりたいです!
やろうねカースくん!」
「うん! ぼくもゴースト退治やってみたい! たのしみだよーセルジュくん!」
ちなみにゴースト退治(ハント)とは隠れんぼのことである。
音もなく物陰に潜むゴーストを探して退治するという設定だ。
ゴーストは魔力の高い者に存在を認識されるとそれだけで消滅することから、このような名前になったらしい。
このようにあちこちで挨拶が交わされている。
だいたい同じぐらいの身分同士で固まるものらしい。
えらい神官の挨拶が始まる。
全身白づくめの優しそうなお爺さんだ。