そして翌日、パスカル君が気まずそうに話しかけてきた。
「カース君、聞いたよね? うちのパトリック兄上が迷惑をかけてごめんね。」
「うん、聞いたよ。問題無いと思うよ。パスカル君が気にしなくてもいいんじゃないかな?」
「そう言ってもらえるとありがたいよ。頼れる兄上なんだけどね、姉上のことになると周りが見えなくなるみたいなんだ。」
「へぇー会いに行ったりはしないのかな。冒険者ならギルド周辺にいそうだよね。」
「それは行ってないみたい。行けばいいのにね。僕はギルドが怖くて行けないけど。」
「あー、前に社会科見学でギルド前を通ったけど冒険者のおじさん達って怖いよね。うちの兄もよく冒険者になったよね。」
まさかパトリック、何歳か知らないけど怖くて行かないのか?
「おはようカース。色々と大変だったみたいね。」
「やあおはよう。その分だと僕が言うまでもなく知ってそうだね。パスカル君の相談もこれだったってことだよ。」
「パトリックさんね……クタナツが特殊ってこともあるんだけど、どうしても王都や領都、他の貴族領で生まれ育った貴族ってああなってしまうのよね。
ベレンガリアさんが嫌がるのも分かるわ。
私もクタナツに来て気付けて良かったわ。
カ、カカ、カースのおかげかも知れないんだから!」
「いやいや、アレックスちゃんはどこで育ってもきっとアレックスちゃんだよ。いい子に違いないさ。」
「同級生なのにいい子だなんて、カースは変なことを言うんだから。ああ元から変なんだったわね。
で、でもありがと……」
やはりあの手の不祥事ってすぐに知られてしまうんだろうな。貴族社会は怖いぜ。